■WAB-Web

2nd Asian-Pacific Congress of Bronchology(第2回アジア太平洋気管支会議)

 本年7月12〜16日,Dr Philip Eng会長のもとシンガポールで開催された第2回アジア太平洋気管支会議(2nd Asian-Pacific Congress of Bronchology, APCB)に参加いたしました(図1).本会議は,アジア環太平洋地域の各国における呼吸器内視鏡による診断,治療をはじめ,気管支学に関する研究の連絡,提携および促進を図り,その進歩発展に貢献することを目的として,2年前千葉大学藤澤武彦教授の指揮のもと発足され,第1回目は千葉市において開催されました.私は幸運にも第1回目の運営に携わり,今回の第2回目ではInternational Facultyとして参加することができました.
図1. 学会長Dr Philip Eng, WAB Chair Dr Udaya Prakashとともに.
 シンガポール入りしたのは7月12日の夜でしたが,まず第一印象は空港が非常にきれいなこと.学会参加のため数多くの国へ行っていますが,これ程きれいな空港は初めてでした(図2).また,夜中にもかかわらず湿気と厳しい暑さに驚きました.7月は地元の先生によればまだ過ごしやすいとのことでしたが,さすが赤道直下の国,日中は想像を絶する暑さでしたが,この暑さに勝るとも劣らない参加者の熱気を感じる5日間でした.参加者はアジア環太平洋を中心とした35カ国より,延べ400人以上におよびました.
図2. シンガポールチャンギ空港にて.右より著者,藤澤武彦教授,中島崇裕先生.
 学会は本会議が7月14〜15日の2日間,さらに前後3日間でPostgraduate CourseとCongress Workshopという日程で行われました(表1).会場はSingapore General Hospital内にある施設で行われ,本会議は通常は一般公開されない由緒あるCollege of Medicine Building Auditoriumで,ワークショップは入退室時にIDが必要なPathology Lecture Theatre and Animal Labで開催されました.
 7月12日のPostgraduate CourseはThe Essentials of Flexible Bronchoscopyというテーマで気管支ファイバースコープの基本についての講義に加え,Singapore General Hospital施設内見学も含まれており参加者には好評でした.私は7月13日のPre-congress Workshopから講師として参加しました.テーマはInterventional Pulmonologyで午前中に講演,午後はAnimal Labにおいてモデルと犬を使用したハンズオンワークショップが行われました.ハンズオンの内容としては,硬性気管支鏡を使用した気管支異物摘出,ステント挿入,経皮的気管切開術,また気管支ファイバー下の気管支肺生検,極細径気管支鏡,APC,Electrocautery,Endobronchial Valve,TBNA,EBUS-TBNAの計10ステーションに各1人の講師が配属され指導にあたりました.私はEBUS-TBNAとTBNAを担当し,3時間半で120人以上の参加者に実技指導を行いました.東南アジア諸国の多くの施設では未だ取り入れられていない手技が多いため,参加者は非常に積極的であり,その多様な国民性に驚き,内心機器の損傷を危惧しながらの3時間半でした(図3).日本の学会ではあり得ない時間配分に初日より疲労困憊でした.
図3. 7月13日のPre-congress Workshop(Interventional Pulmonology)にて.
 7月13〜14日の本会議はDr Udaya Prakash,Dr Denise Cortese,Dr Kevin Kovitz,Dr J Pablo Diaz-Jimenez,Dr Rex Yung,藤澤武彦先生らによる気管支鏡およびこれに関する領域の最新の知見についての講演が主体で,私もEndobronchial UltrasoundとMediastinal Stagingの2題の発表の機会を得ました.一般公募演題としてはビデオセッションおよびポスターセッションがあり,ベストビデオ演題には聖マリアンナ医科大学の栗本典昭先生が末梢肺病変に対するEBUS guide sheath法の演題で受賞されました.
 さらに新しい試みとしてEBUS-TBNAによる縦隔リンパ節穿刺およびAutofluorescence Imaging(AFI)のLive Demoを行いたいという学会側の要望があり,シンガポールでの医療行為を行うための膨大な必要書類,条件をクリアし実現することができました.私と後輩である中島崇裕先生がDemonstratorとして本会議の初日の昼間にLunch SymposiumとしてDemonstrationを行いました.最初の症例は右上葉肺癌疑い症例でCTにて上葉肺門・縦隔リンパ節腫脹を認め,#3リンパ節に対するEBUS-TBNAを施行し,迅速細胞診にて癌細胞を証明,2例目は左上葉肺癌術後で右下葉B10に内腔所見を有する症例で,AFIによる詳細な気管支粘膜の観察を行いました(図4).実際の手技は気管支鏡室で行い,映像は同じ病院内の会場に生中継されるという形で進行.会場は満員で大成功に終わりました.
図4. Live Demonstration. 著者と中島崇裕先生.肺癌症例におけるEBUS-TBNAによる縦隔リンパ節転移診断.
 最終日7月16日のPost-congress WorkshopはDiagnostic and Therapeutic Thoracoscopyをテーマとして,Pre-congress Workshopと同様,午前中にLecture,午後はモデルと犬を使用したハンズオンセッションが行われました.参加者のほとんどは呼吸器内科医でしたが,私は外科的アプローチとして,2ポートないし3ポートによる胸膜生検の手技および胸腔鏡検査時の解剖学について各先生に紹介しました.最終日にもかかわらず,多くの先生が参加されており,4時間では全員に廻らない程の参加人数でした.
 今回はアジア環太平洋各諸国の先生方の呼吸器内視鏡に対する熱意を感じる5日間でした.第1回目に引き続き大変充実した内容でしたが,今回の会議で非常に残念に思ったのは,若手医師の日頃の成果を発表する場が少なかったことでした.一般口演の演題がなく,ビデオ演題とポスター演題の公募のみでした.第3回目では多くの一般口演を導入して頂きたいと思います.
 なお,本会議の初日の朝にはAPCBのBoard Meetingが行われました.世界気管支学会WAB(World Association for Bronchology)のDr PrakashとDr Diaz-JimenezにもObserverとして参加して頂き,WABのSupportのもとに将来Asian Pacific Association of Bronchologyという国際学術集会にすることと,第3回は中国,第4回はインドでの開催も決定されました.APCBはアジア環太平洋地域における呼吸器内視鏡に関わる治療研究のさらなる進歩に貢献し,斯学のみならず,医学・医療一般の発展・向上に大きく寄与するものと考えられます.今後もAPCBへの多くの先生方の参加を期待します.なお,2008年3月30日〜4月2日には第15回気管支学世界会議(15th World Congress for Bronchology)が東京で開催されます.抄録の締め切りは10月14日となっております(Homepage:www.wcbwcbe2008.com).WAB(Homepage:www.wab-wcb.org,Email:wab@aioros.ocn.ne.jp)への入会と同時に世界気管支学会に多くの先生に参加して頂き,日本における呼吸器内視鏡技術の最先端を世界に発信して頂きたいと思います.
 駆け足の5日間の滞在でしたが,今回はほとんど学会場に拘束されており,残念ながら観光はほとんどできませんでした.最終日に見に行ったマーライオンと町の美しさだけがシンガポールの私の思い出になりました.次回はもう少しのんびりとしたスケジュールで参加したいと思います.
(文責:千葉大学大学院医学研究院胸部外科学 安福和弘)

特定非営利活動法人NPO・WAB
世界気管支学会 事務局分室

〒182-0026 東京都調布市小島町3-2-6
TEL&FAX:0424-82-4997
E-mail:wab@aioros.ocn.ne.jp
URL:http://square.umin.ac.jp/WAB/

to top

Copyright©2002 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 All rights reserved.
http://www.jsre.org/